岡山県公安員会指定 犯罪被害者等早期援助団体
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被害者サポートセンターおかやま(VSCO(ヴィスコ)
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被害者サポートセンターおかやま は、犯罪被害者を支援する岡山県の民間団体です。

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性犯罪という犯罪 −同意とは何か− 講演要旨

  2020年2月8日、岡山市とVSCOの共催で、「犯罪被害者支援を考える市民のつどい」が行われ、後藤 弘子千葉大学教授が、講演を行いました。
講演要旨

       
 
同意とは何か

1980年代から1990年代にはやった松田聖子さんの歌「Rock'n Rouge」に、

「Kissはいやと言っても反対の意味よ」という歌詞があります。違います。「いや」と言ったら「いや」なんですというのが、今日の講演の中心です。

性暴力や女性に対する暴力はジェンダー差別

 差別は、差別される相手を下にみるということ、性暴力も相手の人権を無視して行う行為です。

2018年のノーベル平和賞は、デニ・ムクウェゲ氏ナディア・ムラド氏でした。ムクウェゲさんは、映画で紹介されましたが、紛争地域でひどい性被害にあった被害者を治療している産婦人科の医師です。21世紀以降、紛争地域では、ミサイルを撃ち込まなくても、女性をレイプすることで、相手を無力化することが行われています。性暴力によって女性を傷つける、妊娠させるということが、戦争のひとつの手段なっています。

ナディア・ムラドさんは、性暴力の被害者で、性奴隷になった状態から逃げ出しました。映画「On Her Shoulders」で紹介されました。性暴力の被害者である彼女にどれだけの重荷を負わせているか、という映画です。

2018年、この二人にノーベル賞が与えられたということは、「性暴力のことについて考えろ」「性暴力の被害者の声を聴け」ということです。










 

性暴力かどうか考えるとき「同意」がすべて

 Youtubeの同意に関する紅茶の動画にあります。誰かに紅茶をいれても、「紅茶が飲みたくない人に、無理やり飲ませてはいけません。途中で気を失った人に無理やり紅茶を飲ませてはいけません。昨日紅茶を飲みたいと言ったからといって、今日、飲みたくない人に飲ませてはいけません」という動画です。この動画は、同意とは何かをわかりやすく説明しています。ぜひ、ご覧ください。

 Kissをしようとしたときに、対等な関係だと、相手に断る自由があります。しかし、残念ですが、日本は男女が平等ではなく、女性は、「いや」だけど「いや」と言えないこともあります。「いや」と言ったら、相手に悪いと思ってしまう。残念ながら、ジェンダー差別がある日本のような国では、権力を持っている側は、同意について考えない。そもそも、相手が同意しているかどうかかを考える習慣がありません。

 大学生による「一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション」による、性的同意に関するハンドブック「セクシュアル・コンセント・ハンドブック」の作成も行われています。

 ●日本における#Mee Too

 なぜ、2018年に性犯罪に関するノーベル平和賞が出たか。これは、2017年に、アメリカで、『#Mee Too運動』が広がったからです。この動きは、「フラワーデモ」など、日本にも存在しています。

 伊藤詩織さんの事件については全国版で報じられ、皆さんご存じだと思います。伊藤さんは、意識のない状態で性行為をされました。警察に行き、告訴して逮捕命令まで出ていたのに加害者は逮捕されず、刑事事件では不起訴となりました。その後、伊藤さんは、民事裁判で加害者と争いました。2019年12月、裁判所は、伊藤さんの同意がないのに性行為をしたと認め、伊藤さんが全面勝訴しました。伊藤さんは、2017年に自分の体験を「ブラックボックスという本に書きました。2018年に英国BBCが放映したテレビドキュメンタリー番組「Japan’s Secret Shame」では、私も日本の法律の解説をしています。詩織さんの加害者は控訴しているので、まだ裁判は続いています。

 















 伊藤さんは民事裁判に勝訴して、マスメディアが取り上げてくれましたが、それまで2年間、メディアは沈黙していました。他にも、セクハラ事件がありましたが、被害者が名前を出すことがありませんでした。日本では、被害者が自分の名前を出しにくいので、『#Mee Too運動』が広がらないのです。

 

























 司法で被害者であると認められることは、とても大きいことだと思います。日本では、性犯罪被害者は、沈黙を強いられます。日本で声をあげた性被害者は、伊藤さんが最初ではありません。大藪順子さん、小林美香さん、中島幸子さん、東 小雪さん、山本潤さんは本を書くことで沈黙を破った人です。


































 

私は、千葉県で、二つの団体に関わっています。性暴力被害の被害者を支援する「ちさと」と、もうひとつ、子どものシェルター「子どもセンターシェルター()(まれ)です。帆希では、性被害にあったお子さんを保護しています。今まで、何十人もの性被害を受けた子どもたちを保護しています。自分の父親から性虐待を受けた子ども、祖父から性虐待を受けた子ども。中には父親の子どもを妊娠してしまった子どももいます。なぜ、そんなひどいことができるのか。それは、子どもが自分の思い通りになるものと思っているからです。相手をおとしめて、自分と同じ「No」と言える人間だと思っていないからです。しかし、これらの子どもたちのケースは事件化されないために、その多くが性犯罪の被害者として認められていません。

 

アメリカでは、司法の判断が無くても、性被害の被害者だと認めてもらえます。しかし、日本では被害者と認めてもらえず、バッシングを受ける事が多い。被害者と認めてもらうためには、多くのハードルがあります。痴漢などの被害も含め、全く性被害にあったことのない人はいないといってもいいです。でも、なぜ、日本では沈黙を破った人にバッシングするのでしよう。大きな問題だと思います。それは、残念ながら、日本では女性の地位が低いからです。2018年の世界経済フォーラムジェンダー・ギャップ指数は110位、2019年はなんと114位です。




























● 十分でない刑法の改正

2017年、刑法の性犯罪規定が改正されました。この中で良かったなと思うのは、監護者わいせつ罪・監護者性交等罪です。親が、親であるという権力を利用して子どもに性暴力をふるってはいけないということです。あたりまえですよね。親に「No」と言えない。これが犯罪となったということは、親である権力を利用して子どもに性行為をする事は起こってはいけない事だということです。

 今回の改正法には、3年後の見直しがあります。今年2020年はまさに、その年になっています。

性犯罪に対する神話は、まだまだあります。「暗い夜道で知らない人から襲われる」のが、性犯罪ではありません。実際の性被害は、明るい昼間に顔見知りから襲われて、被害者は凍り付いて抵抗できない」です。それに基づいて、性犯罪の法律も変えていかなくてはなりません。

 
















法律の性犯罪規定には、暴行・脅迫要件や、抗拒不能(抵抗ができないこと)があります。現在の刑法では、意に反する性交の全てが強制性交等罪になるわけではありません。つまり、暴行・脅迫がなければ、同意の無い相手に性交しても犯罪にはなりません。同意が無い相手に性交すれば犯罪ではないでしょうか。しかし、現在は、暴行・脅迫によって被害者が抵抗できなかったかどうかをみるんです。
 暴行・脅迫が無くても、抵抗できない事はあります。実際に襲われたときは、「キャー」と言って逃げるのではなく、凍り付いて動けないのです。不同意性交がそれだけで犯罪になる・・・・そういう法律をつくってほしい。これが被害者と私の望みです。

 2017年改正前の刑法は1907年(明治40年)に作られました。この当時は、女性に参政権はなく、男性が集会しても罪には問われないが、治安維持法で女性が集会を持つことが禁止されていました。そういう時代背景で作られた法律です。

 

スウェ―デンの状況


 スウェ―デンは、2018年に新しい法律ができました。この法律は、「Yes  Means  Yes 型です。スウェーデンでは、性交のとき相手が「自発的」でなければ、レイプとなります。自発的に参加しなければだめです。2年以上6年以下の拘禁刑、これはスウェーデンでは重い刑罰です。同意したかどうかは、言語・行動・その他の行動によって判断します。以前は「No Means No型」でした。現在では、被害者がどうだったかではなく、加害者に注目します。この法律は、「この社会では、同意のない性行為は許さない」というメッセージです。

 

性暴力の被害者に必要なこと

性暴力の被害者に必要なことは、

「被害者」として社会的(公的)に承認することが重要です。

  伊藤詩織さんの場合、被害者なのに被害者と認められるまでに2年かかりました。

 

被害者にエンパワーメントを獲得させてあげる。 

           被害によって失われた力を取り戻してあげないといけません。

 

 被害者への情報の提供をしてあげなければならない。

           情報提供で、被害者としての選択肢をいかに増やすかが重要です。

 

この中でも、一番大事なのは、被害者だと承認してあげることです。伊藤詩織さんも民事裁判をしなければ、被害者として認められませんでした。全ての性暴力が性犯罪とならないといけません。今のままだと、司法に訴えるハードルが高すぎます。

 

●最後に

 最初に言ったように、「Kissはいやと言っても反対の意味よ」ではありません。「“いや”は“いや”」「“No”は“No”」です。

私が望む社会

○性犯罪をなかったことにしない

○沈黙を破る被害者を支援する

○沈黙を破ることを強制しない・・・破りたいときに破れる

 このことを一人一人が支援する社会を望みます。

 2017年性犯罪に関する法律は改正されましたが、これは、「はじめの一歩」です。これを「てこ」として、運用を変えていく必要があります。何より、社会が性犯罪被害者の声を受け止め、性犯罪被害者が被害者として、支援を受けながら社会生活を送れるようにしていかなければなりません。同時に、女性に対する暴力が、社会のジェンダー権力構造に基づいていることを再確認して、そのために必要な措置をとることが重要です。スウェーデンのように、法律で「同意のない性行為を許さないことが、社会の意識を変えるのです。

 



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