子どもが性被害にあったとき 周囲の大人の対応

子どもが被害にあったとき、支えになるのは、親や周囲の大人です。でも、いざ、身近な子どもが被害にあうと、大人自身も動揺し、ショックを受けてしまうので、即座に適切な対応をする事が困難になります。
万が一、子どもが被害にあったとき、それがトラウマとなって、その後の子どもの人生に大きな影響を及ぼすかどうかは、出来事そのものだけでなく、被害後、こどもがどのようなサポートを受けたかに左右されます。
大切な子どもが被害にあうことは想像したくもないことですが、あらかじめ予備知識があれば、その被害を早期発見し、子どもの気持ちを受け止めることがスムースになります。
周りの大人が子どもの異変にいち早く気づき、子どもの話を信じ、子どもを非難せず、一貫したサポートを続けることができれば、子どもの回復の可能性は高まります。


    ●参考になるサイト    子どもの性の健康研究会

●子どもの話を聴きましょう。

「嘘でしょう」 「なんで、どうして」 と、子どもの話を頭から否定しないfでください。
できれば、スマホなどで録音・録画しながら聞きましょう。
子どもが話したことは、必ずメモに残しましょう。警察に届けるときにそれらを持っていきましょう。

「誰に」「何をされたか」を簡潔に聞きましょう。
話をしたくなさそうなときには、無理に聞きだそうとしないでください。
詳しく裏を取ろうとする親も多いのですが、専門家でない人が聞き出そうとすると、子どもの傷口を広げてしまうことが少なくありません。

男の子が被害にあうこともあります


・・・・子どもの身体と心を守るために・・・・


●証拠を残しておきましょう。

接触のある性被害直後の場合は、お風呂やシャワーは厳禁です。
被害にあうと、「自分は汚れてしまった」と感じるため、きれいにしたくなるものですが、そのままの状態で警察に行き、体液や加害者の服の繊維などの証拠を採取してもらいましょう。産婦人科にも警察からつないでくれます。72時間以内であれば、妊娠を防ぐための「緊急避妊薬」が使えます。その際の受診料は、岡山県の場合、公費負担制度によって無料です。
すぐに警察に行かないときは、服は洗濯しないで、新しい袋に入れて取っておきましょう。

●再被害を防止するために、警察に届け出ましょう。

子どもへの性被害の加害者の多くが顔見知りです。警察に被害届を出すことをためらうこともあるかもしれません。
しかし、再被害を防止するためにも、届け出ましょう。
泣き寝入りして徳をするのは「加害者」です。訴えられなかったことに味をしめて同じような事件を繰り返す加害者も少なくありません。

警察に被害届を出すことで、被害にあった子どもが「自分が悪いのではない」と、思うことができます。

●無かったことにしないでください。

「犬に噛まれたと思って忘れなさい」などと、被害をたいしたことではないとか、なかったことにしたほうがいいとか言う人がいますが、性的な被害は、簡単に忘れられるようなものではありません。忘れたつもりになっていても、心や身体に不調が表れるものです。子どもの頃の性被害に何十年も苦しみ続ける人は少なくありません。

子どもへの対応

●被害について、話してくれた勇気を十分にほめましょう。

「話してくれて、ありがとう」 「あなたは悪くない」 と伝える
つらいことを打ち明けてくれたのは、信頼してくれているからです。自分を選んで話してくれたのです。できるだけ落ち着いて、子どもの話を受け止めましょう。

聞き過ぎない
「いつ」「どこで」「どのように」は、なるべく聞かないようにしましょう。子どもは、暗示や誘導にかかりやすい面があり、記憶が汚染されてしまうこともあります。
また、専門家でないひとが聞くことで、子どもの傷口を広げてしまうことが少なくありません。

詳細な聞き取りは専門家に任せましょう。      
子どもに無理をさせない範囲で十分な睡眠と健康的な生活を送るように心がけましょう。

子どもの心のケアについて
性的な被害(ちかん・強制わいせつ・強姦等)は、子どもの心に強いショックを与える体験です。そうした体験の後、心や体に様々な反応が表れることがあります。これらの反応は、ショックな出来事の後に起こりうる当たり前の反応です。適切な対応をする事が回復への近道となります。

身体の反応
眠れない、眠りが浅い、こわい夢を見る
食欲がない、食欲が増す
息苦しさ、動悸、胸の痛み
手足の震え、発汗、発熱、腹痛や頭痛、だるさ

こころの反応
出来事の場面を思い出したくないのに、思い出す
出来事に関連する場所や人、モノを避ける
イライラする、かんしゃくを起こす
ぼんやりする、集中力が低下する
過剰に警戒する、おびえる、他人を怖がる
情緒不安定(落ち込み、ハイテンション等)

行動面の反応
赤ちゃん返りをする
電気を消して眠れない、一人で眠れない
学校の成績が落ちる
登校、登園しぶりをする
友達やきょうだいとのトラブルが増加する
性的な関心が増し、性的な行動をとる
ゲーム、携帯電話、インターネットへの没頭
自殺行為(リストカット、抜毛等)

子どもは、大丈夫そうに見えたり、元気そうに見えても不安や複雑な思い、事件後のさまざまな心身の反応に苦しんでいることがあります。
また、感情が凍り付いて麻痺していたり、大人を心配させたくないため、何事もなかったようにふるまっていることがあります。

家族の変化
子どもが、被害にあうと、家族は大きなショックを受けます。父親は、加害者への怒りをあらわにし、母親は、自分を責める傾向があります。家族の間のこのような対応の違いを子ども本人が感じると、子どもの回復を遅らせることにもなります。VSCOの支援員は、ご家族に「子どもの前で、言い争ったりしないでください」 と、お願いしています。

VSCOは、このような被害者家族ひとりひとりの思いを受け止めています。

保護者は、子どもが被害を受けると、気持ちが動揺します。それは当然のことです。ご自身が動揺していることを自覚しましょう。しばらくの間は、特に子どもが安心して過ごせるように配慮しましょう。
VSCOにご相談ください。VSCOは、被害者である子どもも、保護者のあなたも支えます。

●参考になるサイト   子どもの性の健康研究会


●参考になる書籍

『いいタッチわるいタッチ』 だいじょうぶの絵本
安藤 由紀 著

子どもたちがプライベートゾーンをまなぶために

プライベートゾーンとは、自分の大切な場所のことです。
水着でかくれるところです。
そこは、他の人に見せたりさわらせたりしてはいけません。
勝手に他の人のプライベートゾーンを見たり、さわったりしたらいけません。
くちびるや顔や髪の毛も勝手にさわってはいけません。


あなたに伝えたいこと 性的虐待・性被害からの回復のために』 
シンシア・L・メイザー K・E・デバイ 著 野坂祐子・浅野恭子 訳 
(誠信書房、3600円+税)

『子どもが被害にあったとき』 
窪田陽子・村本邦子 著 (三学出版、952円+税)

『子どもへの性暴力 ・・・その理解と支援・・・』
藤森和美・野坂祐子 著 (誠信書房) 

● 性暴力・性犯罪被害者のためのワンストップ支援センター

性暴力被害者支援センター「おかやま心」  

086-206-7511

月~土 9:00~17:00

上記以外の夜間・休日は国のコールセンターが受け付けます。

#8891(はやくワンストップ)