岡山県公安員会指定 犯罪被害者等早期援助団体
  公益社団法人 
被害者サポートセンターおかやま(VSCO(ヴィスコ)
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被害者サポートセンターおかやま は、犯罪被害者を支援する岡山県の民間団体です。

相談電話086-223(にーさん)-5562(こころに)

相談・支援は無料 月〜土曜日 午前10時〜午後4時
祝日・年末年始は休み

苦しみを乗り越えて光ある場所へ

       公益社団法人被害者サポートセンターおかやま
                         匿   名

 私は、母親の再婚相手である義父から15年に渡っで性被害にあっていました。とはいえ、一番最初の被害はいつ噴からか、というのは実は後から懸命に記憶を辿ってようやく思い出しただけで、その詳細にっいてはあま・り覚えていません。小学校の高学年頃に胸を軽くタッチされたような記憶がぼんやりとあるのみです。

 はっきりと嫌悪感をもって記憶に刻み込まれているのは中学生になってからです。学校の送り迎えの車の中で服の中に手を入れられて触られました。羞恥心と言いようのない生理的嫌悪感で頭の中はぐちゃぐちゃでした。でも、私が嫌がって義父を怒らせてしまえば再婚相手である母親の立場が悪くなってしまう、私は良い子でいなくちゃいけない、何よりこんな恥ずかしいことは誰にも言えるものではない、という思いから私は黙って耐えるしかありませんでした。
 
 本当に毎日が生き地獄で、ずっと死にたい殺してほしいと思いながらも死ねない日々
でした。
 
 14歳で初めてレイプされ、その後18歳と25歳で義父の子を妊娠して中絶をしていく中で、次第に自分で現状をどうにかして逃げようという気持ちはなくなっていきました。
 
 そんな生きながらにして死んでいるような私の人生で、現在の夫との出会いは私に一筋の光を与えてくれました。
 
夫に初めて被害を打ち明けて、その後夫の助けで家を出てからは、これで義父に無理やり性行為を強要されることもなく幸せになれるのかな、と思っていましたが、今度はフラッシュバックが起こるようになりました。毎日眠れず、また眠れても夢に義父が出てきてうなされて目覚めたり、インターホンの音が鳴ればドアの向こうに義父が立っているような錯覚におちいり外にも一人で出られなくなったりしました。
 
そうしたことが続く中で、私だけがこんなに苦しんで世間から隠れるようにして生きているのに、加害者である義父は何も変わらずに毎日を過ごしていることに疑問がわいてきて、義父を訴えようと決意しました。

 そしてまずは夫と一緒に被害相談ということで地元の警察署に行きました。

 自分の家で起こった身内の犯行の話なので、正直なところ相手にもされないのかなと思っていましたが、きちんと別室に案内してくれてゆっくりとお話を聞いてくれました。

 そこで被害の訴え方もわからなかった私と夫に、強姦罪は親告罪であるということ、訴える場合は告訴状を持ってこないといけないことなどを丁寧に教えてくれました。「そんな酷いやつは許せないけど、告訴してくれないと捜査してあげることができないんだ、だけど自分で告訴状を用意するのは大変だろうから弁護士さんにしてもらった方がいい、こういう支援してくれる団体もいるから連絡してみたら」などと言ってVSCOのパンフレットをくれました。おかげで自分のすべき行動がわかってすごく安心したし、何より嘘だと思われるのではないか、家の中のことを持ち込まないでくれと冷たくあしらわれるかな、と思っていた私にとっては、優しく対応してもらえたことが一番ホッとしました。

 しかし、優しい対応をしてくれる警察ばかりではありませんでした。

 住民票をその当時住んでいた大阪に移さなくてはならなくなり、そのため義父に住民票を見られて居場所を知られないためには、住民票の非開示措置を取ってもらわなくてはならないと市役所に行ったところ、すぐそこの警察署で証明をもらってきてください、と言われて大阪の警察署に行ったときは本当に辛い思いをしました。

 市役所の人に生活安全課の人に言って下さいと言われていたので窓口で話して生活安全課の人を呼んでもらったのですが、出てきた時から面倒くさそうなのがありありと出ていて、その上態度は高圧的でまくしたてるようなしゃべり方でした。性被害の話であるにも関わらず、別室対応などもとられず、1階の階段近くで後ろに人が行きかう中で話をさせられて酷く屈辱的でしたし、内容について大声で話されるのも恥ずかしかったです。結局私のケースでは証明書は警察では書いていただけないということだったので、私は辛い思いをするためだけに警察署に行ったようなものでした。

 ああ、やっぱり警察の人なんて所詮こんな人がほとんどなんだな、と警察の人の対応を見て私は世間の反応を見たような気持ちでした。

 その日は2月の雨の降る寒い日で、当時妊娠中でしたので市役所と警察署の行き来だけでも体が辛かったのですが、冷たい応対にさらに悲しい気持ちになりました。

 応対した人は、名前も名乗りませんでした。夫がその日のことで大阪府警に抗議の電話を入れた際も名前も名乗らない人に「場所によって違うからね」と対応されて非常に不快な思いをしました。場所が違えばぞんざいな対応がなされてもよい、ということは絶対にあってはならないと思います。性被害というただでさえ話しにくい内容なのに、プライバシーに配慮した対応がしてもらえなかったことは今でも私の心に傷ついた記憶として残っています。

 警察署で住民票の非開示のための証明をもらえないということになり、市役所でもそこで証明書がもらえないならそもそも私のケースはDV法にもストーカー規制法にも当てはまらないので、可哀想だけど非開示措置は取れません、の一点張りでどうしようかと途方に暮れていたのですが、VSCOの支援員の人が岡山からわざわざ大阪まで来てくれて、一緒に市役所の方を説得してくれたり、VSCOからの意見書を書いてくれて、精神科医の診断書と一緒に提出してくれたりした結果、特例的に認めてもらえることになりました。私一人では到底できなかったことだと思います。

 告訴後は事情聴取や現場検証などで何度も大阪と岡山を往復しなければならず、産まれたばかりの息子を抱えながらでは大変でした。ですが、VSCOの支援員の方たちが付き添ってくれて、事情聴取の間はすぐ隣の部屋で面倒を見てくれましたし、県警の方も、授乳の時間を定期的に設けてくれたり、時には泣き止まない子供の授乳をしながら事情聴取をさせてくれたりしました。

 色々と配慮をしてくださったことも嬉しかったのですが、何よりうれしかったのは県警の班の人たち皆の何が何でも犯人を逮捕するぞ!という熱意がすごく伝わってきたことです。様々な配慮とその熱意で、私は何とか事情聴取や現場検証を頑張ることが出来ました。

 そして県警の皆さんが懸命に捜査してくださった結果、義父は逮捕されることとなり、検察での取り調べとなったのですが、そこでも再び事情聴取がありました。何度も同じ内容を話すことはその度に被害にあっていたことを思い出すことになり、とても辛いことでしたが、夫や支援員の皆さんが毎回必ず付き添ってくれたので、何とか乗り切ることが出来ました。
県警の皆さんと同様に、検察の方たちもとても正義感に溢れた人たちで、一生懸命に事件に取り組んでくれました。県警での捜査と同じように、近くの部屋でVSCOの支援員さんや子供を待機させてもらえたので、安心して事情聴取に臨めました。

 そして裁判では、被害者参加制度を使って裁判に参加しました。

 傍聴席で見るだけでなく、直接本人に自分の思っていることをきちんと訴えたかったし、これは自分の被害のことなので、自分で最後まで責任を持って裁判の行方を見守りたかったからです。

 ですが、真正面に義父本人が立っているのを見るだけで胃痛や頭痛が起こるので、本当に毎回裁判は心身ともにぐったりと疲れ切っていました。

 私は検察側の席に一緒に座っていたのですが、隣には代理人の弁護士の先生がずっと付いていてくれたので、辛いながらもとても心強かったです。

 この代理人の弁護士の先生は、VSCOに相談に行った時からずっと相談に乗ってくれて、告訴状を出すところから裁判に至るまで、様々な手続きを代行してくれたりしました。法律的なことは専門家でないとわからないことが多いので本当に頼りになりました。

 裁判の結果は、懲役10年というこの種の事件ではかなり長い判決が出ました。

 これは私一人の力ではなく、これまでに関わってくださった方たち皆で勝ち取った判決だと思っています。懲役の長さもですが、私の言うことが正しいことだったと裁判所が認めてくれたように思ってそれがとても嬉しかったです。

 裁判をすることで自分自身の心身の負担はとても大きいですが、私はそのことを通して自分のこれまでの人生に一つの大きな区切りをつけることができました。

 私は今、県外で夫と子供の三人でごく普通のありふれた家族として生活しています。

 去年から子供を保育園に預けて仕事復帰もしたので、仕事と家事と育児の両立に四苦八苦していますが毎日がとても充実しています。

 特別な生活でも何でもない、当たり前の普通の生活こそが何物にも代えがたい幸せだと、今本当に実感しています。

 そして、今性被害にあっている人たちにも、そういうごく普通の生活を送る権利はあるし、またそうすることができるんだと私は伝えたいです。

 そのためにも、まずはこの人なら、と思える誰かに被害のことを話してみてほしいと思います。告訴するかどうかは別として、誰かに話すことで自分の背負ってきたとてつもなく重いものが、少し軽くなって楽になると思います。

 身近な人に言い辛ければ、岡山にはVSCOのような支援機関があります。そこには必ず味方になってくれる人たちがいます。

 私は告訴すると決めてから病院の受診や警察や検察の事情聴取、裁判出席の際の付添いなどたくさんお世話になりましたが、何よりも「あなたは何も悪くない、今までよく頑張ったね」という支援員の皆さんの言葉にとても救われました。辛いこと苦しいことは本当にたくさんありましたが、今は感謝の気持ちしかありません。
自分の人生は性被害のためにどん底まで落とされましたが、自分に関わって助けてくださった皆さんのおかげで、私はこの被害にあった自分の人生でもまんざらでもないな、この被害にあった人生だからこそ出会えた大切な人たちもたくさんいるじゃないか、と思えるようになりました。
どうか、声を出す勇気を持ってほしいと思います。
また、皆さんの身近で被害にあっている人から打ち明けられることがあったら、まずは「あなたは何も悪くないよ」と伝えてあげて下さい。

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