支援の事例 殺人事件
●妻を殺害されたAさん
Aさんは、妻を殺害され、中学生と小学生の息子二人も大きな傷を負わされました。加害者は、その後Aさんの暮らしていた家にも放火したため、残された3人は住むところにも困る状態でした。共働きの妻を殺され、全焼の家のローンも残っており、経済的にも大変でした。警察官からもらったVSCOのリーフレットを見て、VSCOに電話してきました。精神的に不安定になった子どもたちの精神科受診の費用は、VSCOの犯罪被害者支援金でまかないました。大きく報道され、自宅の近辺にマスコミがおしかけてきたため、VSCOの協力弁護士がテレビ局等に申し入れをするなどの対応を行いました。
子どもたちが安心して学校生活がおくれるように、事件後早い段階で、教育委員会とVSCOを窓口に、※①連絡会議が月1回の割合で計6回開催されました。このような連絡会議が開催されたことで、心ない近隣の住民による2次被害で子どもがフラッシュバックを起こしたときは、児童相談所に一時保護してもらうことができました。また、市の保健・福祉担当者には、自立支援医療費の申請や児童扶養手当の手続きなどをしてもらいました。また、地区内組織の見守りなどの協力も一部お願いしました。
Aさんは、「被害者自身の意見を尊重してもらいながら、必要な支援体制を組んでくれたことは、本当に助かり大変感謝しています」と、言われています。
※①連絡会議に参加した関係機関
総合病院、県警本部、警察署、児童相談所、
市教育委員会 市保健福祉センター、市子育て支援課
小学校、中学校
スクールカウンセラー、児童クラブ
VSCO犯罪被害相談員、協力弁護士
●長女を殺害されたBさん夫妻
Bさん夫妻は、長女Cさんを男に殺され、男は逮捕されました。警察からの情報提供でVSCOと繋がりました。VSCOの支援員は、すぐに面接をし裁判と被害者参加制度についての説明をしました。Bさん夫婦は、※②被害者参加制度を利用し裁判に参加することにしました。
VSCOは、被害者に精通した(VSCOの)協力弁護士を夫婦にそれぞれつけました。裁判では、それぞれ別に※③意見陳述制度をにより、意見陳述をすることにしました。VSCOの支援員は、意見陳述書の作成を手伝いました。
法廷で二人は、それぞれの被害者参加弁護士とともに検察官のそばに座り、意見陳述をしたり、長女のことを悪く言う加害者に対する質問を弁護士に言ってもらったりしました。また、傍聴席側のBさんの親族に、支援員が付き添いました。裁判所に届け出てCさんの遺影の持ち込みも行いました。Cさんの成人式の振り袖の写真は、支援員が胸に抱いて裁判を傍聴しました
裁判後にはBさん夫妻は、検察庁に行き、証拠品を返却してもらい、検察官と判決についての話しもしました。支援員も※④付き添いました。その後、協力弁護士が、犯罪給付金制度の手続きも手伝いました。
Bさん夫妻は、「加害者の罪が軽すぎて、娘が浮かばれません」と、言われました。
※②被害者参加制度
被害者などが、刑事裁判で、検察官の横に座り、証人に尋問を行ったり、被告人に意見を言うことができる制度
※③意見陳述制度
被害に関する心情やその事件に関する意見を法廷で述べるものです。支援員は、被害者やその遺族とともに、意見陳述書を作成するお手伝いをします。
※④付き添い
VSCOでは支援をする時、3人でチームを組みいつも同じ支援員が、警察や検察庁、病院等にも付き添います。