支える力になりたい

匿 名  

 4年前の初夏のこと、新聞に「被害者サポートセンターおかやま(VSCO・ヴィスコ)の支援ボランティア養成講座」の募集記事が載っていました。私にとっては驚きと感動という複雑な気持ちでしたが、さっそく応募ハカギを書きました。

 昔のことですが、私は学生時代に、性犯罪の被害を受けて、一時廃人同様になっていた経験があるのです。その後、医療関係者の皆さんや両親などの支援で、無事に社会復帰することができました。お世話になった方々には、本当に心から感謝しています。

 苦しい時に傍にいて見守ってくれたり、遠慮なく話すことができる人がいてくれたら、こんなに心強いことはありません。私は、命まで奪われなかったことと、暖かい支援を受けることができて、本当に良かったと思っています。皆さんのおかけで、ここまで来られた訳ですから、今度は支える立場になって、世の中のお役に立つことが、運命なのかなと思っているところです。

 私達VSCOの自助グループ「性暴力被害者の会」は、性被害者と性被害者家族だけの会ですので、今の気持ち、悲しかったこと、苦しかったこと、どんなことでも語り合い、共有していくことができます。だれにも相談することができずにいる、多くの人々が、苦しみを一人で抱え込まずに助けを求められるようになるということで、私のように、未来が開けることかあります。私が長い間ずっと胸に秘めていたことも、この会で思い切って話してみると、肩の荷が下りたように感じられました。これからも、事件、事故などの被害者は後を絶ちません。一刻も早く支援が受けられるように、VSCOが早期援助団体に指定されることを願ってやみません。

 昨今は、地域のコミュニケーションが不足し、人と人の繋がりが希薄になっています。困った時に頼れるところが必要とされていると思いますので、VSCOが、重要な役割を担う日も近いことでしょう。

(2007年7月)