「ストーカー被害から命を守る」講演概要

「ストーカー被害から命を守る」 小早川明子さん 2014.7/5 ルネスホール講演レジメ

 小早川明子さん

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小早川明子さん著作 『「ストーカー」は何を考えているのか』 
新潮新書 ¥720(税別)もご参照ください  


ストーキングは、無断接近の繰り返しによる相手の安全を脅かし不安に陥れる行為である

ストーカー行為を行う人というのはどんな人なのか?

加害者の特徴 「加害者の特徴」


そもそも交際中から問題が多い 「ストーカー化しやすい人の特徴」

恩着せがましい、過干渉、という交際中の特徴がある
被害意識を持っている 心の痛みを相手のせいにする
相手に責任を感じさせるよう責める
相手から離れることができない不安と弱さ
戻ってこないと分かると報復を考える


最近の特徴

最近の特徴はネットでのやり取りを交際と見なし、同様の心理反応が起きる
ラインの発達で、被害者は観客の目にさらされる
低年齢化と高年齢化


被害に遭う人には、どんな特徴があるか

相手を傷つけることを極端に恐れる
努力と忍耐で何とかなると思っている
自分を罰する傾向
報復を恐れて第三者への相談ができない

ストーカーの被害を防ぐために、この段階になると危ないといった
危険度はどうやって見分けたらいいか
(リスク、デインジャー、ポイズン)

早期の相談、発見、協力体制の必要性
むりな要求や暴言があったら、弁護士に代理人になってもらう、警察に警告を依頼


ストーカーの被害を防ぐために、被害にあっている人はどうしたらいいか?
  

別れたいとはっきり伝える
別れたいと思った時、第三者に相談する  第三者は介入を試みる
常に記録をとる
貸し借りは清算する
逃げ場所を確保する
職場や学校、家族には早めに相談し、協力を得る
暴言が始まったら警察に警告をお願いする

一人でいる時間をつくらない

カウンセリングはどう行われるか
  「加害者と向き合う手順」

ストーカーの被害を防ぐために、社会はどうあるべきか、どういうことが必要?

  改正されつつあるストーカー規制法、警察の対応
  警察以外の相談機関の機能の拡充
  被害者が対策情報を一括的に得られること
  期待したい弁護士の活動
  加害者と呼ばれる側の相談先も必要
  被害者支援機関と医療機関と取締り側の連携が求められる

海外の取り組み

アメリカ 全米犯罪被害者センターと司法省の女性への暴力担当事務による
「ストーキングリソースセンター」が啓発と情報発信をしている
  
イギリス ストーカー
    「The National Stalking Clinic」
NHS(National Health Service)の参加の特殊な精神衛生サービス
法的問題も扱いストーカーとその被害者の精神分析および治療を行う。
ストーカーケースでは、保釈または親権監護権の決定事件や保護観察の過程でもアセスメントレポートを求めることができ、裁判所の処分としての治療も行う。

 

ストーキング行為の被害度
(被害者と一緒に考える)

③刑事事件
文言が「呪ってやる」「殺してやる」「火をつける」「人生を破壊する」などの脅迫。複数回の待ち伏せや住居侵入、職場への嫌がらせ、追いかけ、復讐行為の依頼など。(ストーキング中毒症
②不法行為
メールや電話の文言が、「誠意を見せろ」「責任をとれ」「死ね」「消えて欲しい」「死んでやる」など、相手に恐怖を与えるものになり、会社で待ち伏せされるような事態(経済的・精神的実損を伴う)(ストーキング依存症
①マナー違反
いくら拒絶しても、「愛している」「付き合いたい」「離れたくない」など追いすがるようなメールが送られてくる。贈り物や花束が届けられる。

警察力

一刻も早く逃げるか、相手を排除するか、少なくとも加害者の行動を見張らなくてはならない。(最悪の事態の回避が最優先)

●証拠を採取して直ちに被害届、告訴→逮捕
●一時身を隠したり、居場所や通勤経路を変えるなど。身辺警護をつけることも。
●可能なら、措置入院や応急入院なども。
第三者の介入 ●私のような第三者が早急に加害者と面接するか、弁護士が代理人になる。(被害者の保護
●家族、会社、学校など、身近で大切な関係者に報告-何かあったときには直ちに対応できる態勢を作ってもらう。できれば緊急時に身を隠せる場所のめどをつけておく(被害者の保護)
●これまでの記録を用意する(警察に訴え出る支援)

●最低でも警告の申し出
当事者間 (破恋型の場合)
貸し借りは清算した上で、はっきり「別れたい」という。-2人にならない環境で(喫茶店など)。
●以後2人きりになることは避ける。
●2人の別れ話をLINEなどで他人に知らせたりしない。
●この段階では、すべての連絡先を閉じてしまわないで、メールアドレスだけは残しておく。後で証拠にもなる。返信は、誰に見られてもいいような内容で。一貫性のある主張、いい加減な謝罪はしない
●心配性や血気盛んな人、新しい恋人には、相談しない


報復をおそれる心理について・・・

被害者の多くは相手が処罰されることを求めていないし、逮捕されてもすぐに戻ってくるという無力感を持っている。被害者が加害者を訴える際の恐怖心に理解を。

●第3段階に達している場合は、最悪の事態の回避が最優先。
●一度警告や被害届など刑事問題に対応のステージを挙げた場合、可逆的対応をしてはならない。突然、相手から遮断されたり、警察に介入されたりすると、一気に恨みを増幅させて攻撃要求を高め、相手を破滅へ追い込もうとする危険性がある。警告が出るときは被害者に隠れてもらったり、加害者を見張ったりもする。
釈放後については法制度上いかんともしがたく、ストーカーとの闘いは一生続くという覚悟を持ってもらうしかない。(cf警察の「再被害防止要綱」、保護観察所の「特別遵守事項」を確認する、「治療」の模索)

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加害者の特徴

➀ 確固たる心理的動機があり、正当性を妄想的に信じ込む


② 相手を一方的に追い詰め、苦しめていることを自覚しながらも相手に好意を持たれる望みをかける


③ ②の望みが絶たれた時、心のバランスは憎しみに反転、自殺または相手を殺害することもある



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ストーカー化しやすい人の特徴

A、鏡を見る回数が極端に多い

B、1人で外食ができない、店員への態度が悪い

C、人の批判が好きだが、批判されるとすぐに機嫌が悪くなる

D、嫌みを言ったりカマをかける、人の悪口を言うことが多く評価もころころ変わる

E、恋人が髪型を変えたり新しい洋服を着ていたりするとすぐに気がつく

F、恋人の会社の同僚や友達の名前を知りたがる

G、恩着せがましく、褒められていないと機嫌が悪くなる

H、恋人のケータイを見る 予定を聞きたがるなどの干渉が多い

I、時間や道徳、マナーに厳しい

J、旅行の計画は綿密に立てる

K、ケンカをしても決して謝らない 言い訳がうまい

L、過去の自慢話が多く、すぐに専門用語を使いたがる

M、用もないのにメールを頻繁に送る、すぐに返信しないと怒る

N、お風呂やサウナなど、気持ちよくなれることが大好き

O、お腹が空くと不機嫌になる

P、エアコンはいつも自分の適温で調節する


加害者に向き合う手順

拒否されているのに付きまとうことは違法行為であることを教える
どんな時でも常識を伝えることを忘れない
被害者の気持ち(離れたい)を伝える
被害者に伝えたいことはストーキングではなく代理人(私)を通すようにお願いする
直接の連絡は”つきまとい”になることを伝える
双方の意義や債権債務の整理の手助けをする
こだわる細部をともに検討し”答え”を見つける
自分の感情は自分で処理する責任があること、相手に処理を求めないことを理解させる
依存する心理・コンプレックス・孤独を認め受け入れられるようサポートする
相手と離れる決断と、その先の未来をイメージできるサポートをする

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